絵本コラム_どろぼうがないた

雨の多い夏ですね。
こんな夏空が泣いている様な雨の日は、家でちょっと真面目な考え事を。
本日紹介するのは杉川としひろさん作、ふくだじゅんこさん絵『どろぼうがないた』(冨山房インターナショナル ¥1800)です。
丘の上に一人で暮らすどろぼう。
ある夜、盗みに入った所で失敗してしまい、小さな箱しか持って帰ってこれませんでした。
中に入っていたのは土の入った植木鉢。
がっかりしたどろぼうですが、翌日その鉢から芽が出て…。
一つの植物を育てていくうちに、どろぼうの中の失われていた感情が蘇り始めます。
しかし、どろぼうの心に光が射し始めるのとは反対に彼の暮らす国は暗闇へと向かい始めます。
背景がどことなく、日本の今に重なる様な気がしてしまいます。
その国の民の為に国が争う、それは本当に民の為になる事なのでしょうか?
勝っても負けても、誰かの大切なものを奪うただの破壊者になるだけ…なのでは??
色々と考えさせてくれる一冊です。